金倉ひだり
以下:←
ここ数回、主宰インタビューを公演前に掲載していて、結構近いところからは評判もいいですし、今回もということですが、打合わせの場で、今回はいつもとちょっと違った感じにしようということになりまして、今回、僕はインタビュアーというより、一劇団員として主宰と話をすすめていこう、と。
池里ユースケ
以下:池里
ドラ焼き半分ずつしよう
いいね。
池里 では僕皮で、君、あん部分な。
あんいらないんだ。どら焼きのアイデンティティ崩壊だ。で、僕はあんだけなんだ。どら焼きっていうかぶっちゃけそれあんこだよね。
池里 ああ、俺はあんはいつも邪魔なんだ。あげよう。皮はあげないけどな。さて、仲良く半分ずつわけたことだし、話をはじめるか。
……これはいわゆる前口上なわけです。
今回の公演は内容的にすごく濃いというか……主宰と打合わせをしている上で、いろいろな比喩とかイメージとか、すごくおぼろげなものばかりなのだけど、それは本当に本当にたくさん出てきた。
池里 そうだねえ。
うん、このダリックス通して、君が表現したい、伝えたいみたいな、そういう気持ちとか態度を、そのままお客さんに伝えた方がいいんじゃないか、という話になったのだね。
池里 そうそう。
普段のインタビューだとさ、君が質問して答える形なんだけど、それとは違う形で伝えたかったんだよね。

今までのカリバカの公演というものを、ふりかえりつつ話したかったというのもあるけどさ、まあ、お互い、主宰と団員という立場から語ったほうが面白いかもしれない。
僕は広報制作物つくるときに、わりとすっきりまとめてしまうクセがあるのだけど、そのスタイルだと今回の公演についてはどうやっても伝えきれないし、そうやって伝えても、なんか意味ないよね、きっと。この公演に限っては。
 
池里 そうだねえ。そもそも、今回の公演は劇団のスタンスから考えたかったという公演なんだよ。

今までのさカリバカの公演ってのは、毎回毎回前と違うものを、というのを考えながらやってきたんだけど……たとえば、ミュージアムではわかりやすいエンターテイメントというのをやりたかった。

スッテンコロンの狂人塔ではファンタジーを。風祭課長は近未来の話。僕の出自が大学で文芸学科を出たっていうのもあるけど、本が好きな人への物語を。
秋空マンゴーは風変わりなシチュエーションコメディだったし、もしも島田が願うならではカリバカが考える2つのエンターテイメント、つまり「笑える」ということと「怖がらせる」という二つの側面を見せたかった。だから異例の2バージョン公演だった。

で、前作ネムリタで心理的な側面から語る穏やかなコメディというのをうちだしたつもり。

実際「毎公演タッチの違う物語をよく書けますね」みたいな声はお客さんのアンケートでも前々からよくあったよね。
意識してたわけだから、そりゃばらけはする、という。
池里 そうだね。実際お客さんもありがたいことに、毎回ジャンルが違っても期待してきてくれるっていうか、ジャンルが違うことへの否定みたいなものは1枚もアンケートではない(笑)

僕らの芝居は「○○」系のやってます、みたいに一言でいうのが嫌だったんだな。アマノジャクだからね。

「笑いあり、涙あり」です、という風な答え方もあんまりしたくなかったってのもあるなあ。うまく口では言いにくいけど。

ま、だから役者たちが「どういう芝居やってるんですか?」と聞かれたときになんていったらいい?と言う風にいわれることもあったよ。(笑)

君も実際、広報という側面から見てカリバカを売りにくいだろうなあと思ったこともある。
そうでもないかな。共通して、わかる感覚が自分にもあるし。
「笑いあり、涙あり」なんて僕、絶対書かない。というより書けない……なんか恥ずかしくて……。
池里 そうだな。あれは、なんで恥ずかしいんだろうな。
やっぱり当たり前すぎるからなのかな……
うん、当たり前だからだね。
笑いなくて涙なくてじゃあなんなんだ。
池里 はははは。
(笑いなくて涙ない)そっちの方がよほど斬新な気さえしてしまう。 そういう僕たちはアマノジャクなんだと思います。
池里
そうだな。俺もそう思う。
ただ、同時にさ 明確に「こういうの見せます。これが僕たちの売りです」という風に言い切れる人たちを「ふーん」と見ながらもちょっとまぶしく見えることもあったかもな。ほら「女性にすかれるオシャレな劇団です」とかね。いいたいもんね。でも、あいにく自分たちはそういうのともちょっと違うかもなあ、とね(笑)

そんなこと言ってる劇団、ないと思うけど。(笑)
池里 ははは、ないない。

まあ、あと 最近は アングラっぽい劇団も結構はやったりして、マイナー文化みたいなのもあるけど、そういうのに走るのも違うかなあと。

「じゃあ、何?」と言われたときに、そもそもコメディとかサスペンスとか、そういうカテゴリーも人が決めたものだから カテゴリーの境目を曖昧にできないかなあ、と思ったのが今回の公演のとっかかりかな。

人に勧めるとき、なんて説明したらいいのかちょっと困るような、でも面白いものを作りたかったんだ。

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