2006年06月15日
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某 都内喫茶店 中 メニューを食い入るように見ている、劇団主宰の佑里沢。 | |
| この店、メニューに ホットドッグくわわったんだね | |
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すでにご飯を食べてきて興味の無さそうな、劇団製作のふーせん。 | |
| いかにも 付け焼刃って感じだね | |
| ピラフなんてしばらく食べてないな、これにしよう。そもそもピラフってなかなか食べる機会がない | |
| 俺は珈琲だけでいいや。食べながらしゃべんないでね、ご飯粒飛ぶから | |
| 水くさいんで くさくない水にかえてくれますか(と店員に頼む佑里沢) | |
| さて、インタビューはじめよう | |
| ふーせんは珈琲だけでいいのか。くさい水、やろう | |
| えー……店員の視線の方が水よりも冷たい今日この頃ですが。とりあえず、前回はお疲れ様 | |
| ええ。お疲れ様です。……運んできた水、またくさいや | |
| (無視して)前回公演の「甲虫とゴシップ」は、ほんっと噂対決が馬鹿馬鹿しかったね | |
「甲虫とゴシップ」を振り返って | |
| ああ、ばかばかしかったな。脳があれから少し溶けたよ | |
| そんなバカなって言いたいけど、でも確かにあれからしばらくくだらない噂漬けだったね、役者一同 | |
| ああ、そうだね。くだらないことばかりやっていた。それで きづいたらもう、今回公演ですよ | |
| 話題変えるの早えよ!溶けた脳をかき集めて、前回公演から振り返らせてください | |
| ああ、わかったよ。振り返りますか。前回は そういえば印象的だったのはさ………うちから劇場が5分かかんないんだよね | |
| うん、それ、どうでもいいよね。主宰が楽だったってだけでしょ。劇団員だけが読める日誌で、やたら勝ち誇ってたけど | |
| ああそうか、僕が楽だっただけか。あと、雪がふってるのに お客さんがいっぱいきたのもすごかったな | |
| うん、いっぱい来てくれたね。ちょっと劇場も分かりにくいところなのに | |
| 前回はかなりよい意味でB級を目指したつもりだったから、くだらねーと笑ってくれたのはとてもうれしかったよ。 | |
| アンケートで一番印象的だって書かれていたのは、「コーラ」だったね | |
| ああ。メントスコーラね。あれは 高くあがったなあ………。劇場主がみにきたときに怒られるんじゃないかとヒヤヒヤでしたよ…… | |
| 俺も客にかかるんじゃないかとヒヤヒヤでしたよ。ただ、効果抜群だった。演劇としては反則技とさえ言われたけど、カリバカには凄くマッチしてるよね、あの子供っぽい馬鹿さ | |
| ああ、そうだね。反則だろうがなんだろうが面白ければいいのさ(笑) | |
| マッチしていると言えば、噂というテーマも、カリバカにマッチしていたと思う | |
| そうだね。カリバカはわりと そういう人の心の隙間みたいなものとか、とらえにくいものとかを面白おかしくやってきたと思うんだ。噂とか都市伝説ってのもさ とらえられない不思議なものだしね。それを 流す組織があったら面白いっていうのが最初の着想かな | |
| それが、噂を流す会社というテーマになった、と。ただ、とらえられない不思議さというと難解っぽいけど、「薬○が目が死んでいるのは実はサイボーグだから」だとか、あくまで子供っぽさを残しているよね | |
| うん、そうだな。とらえにくいものを くだらないものをつかってあらわすのが好きなんだ。まじめに語る気恥ずかしさというのがいつもどこかにあって、僕はそういうときにジョークにしてしまうのではないだろうか、と思う。……この水、やっぱりくさいな | |
| ……その言動を見る限り、ただ単に主宰が子供っぽいからってのもちょっと否定できないよ。せっかくいい事いったのに | |
| ああ。否定はできない。僕には子供っぽいところはあり、そして水はくさいってのは事実だ。そしてピラフはまだこないってのも事実だ。ちくしょう | |
| ……珈琲あげるからさ、次の質問に移るよ | |
| ああ | |
パジャマと毒薬、2パターンの意味 | |
| 次は「パジャマと毒薬」を下北沢で公演します。これは2パターンある公演なんだよね? | |
| そうなんだ。2パターンやるのは「もしも島田が願うなら」以来だけど | |
| あの時は二度とやらないとか言っていたのに、どうしてそんな茨の道を選んだの? | |
| あのときはきつかったんだけどさ。だんだん書きなれてきて、そんなにはきつくはなくなってきた。まあ、きついはきついけど。あとは 自分のやりたいこと、あらわしたいことがだんだん見えてきたからかな。きつくてもやる価値があると思ってね | |
| 2パターン公演に、どんな価値を見つけたの? | |
| 僕は人間ってのは善とか悪とか単純にわけられないと思っててね。状況によって、どちらかがシーソーみたいに顕著にあらわれるんだと思ってるんだよ。たとえばさ、今日 誰かを殺そうと思うとするじゃんか | |
| (頭の中に佑里沢満人を浮かべる) | |
| まあ、愛の告白をしよう、でもいいんだけどさ | |
| (頭の中の佑里沢満人を慌てて消す) | |
| で、その前に腹ごしらえをしようと 立ち食い蕎麦屋にはいったとする。そこで蕎麦を頼んでさ、七味をかけるときに七味が目詰まりして かからないことってないか。何度ふってもかからない、みたいな | |
| あるね。だからと言って思いっきり強くふると、どばーってかかりすぎたり | |
| そうそう。で、どばーっとかかりすぎた七味をみたらさ、なんか今日、何もかもうまくいかないと思ったりするだろ | |
| わかる。凄くよくわかる | |
| そのおかげで、殺す予定だった日を先延ばしにして。結局1日考えてみたけど、やっぱり殺すのやめよう、とか思ったりな。告白だったら うまくいかないかもと思って、次の日にしようと思ったら別の奴が告白して女をとられちゃったり | |
| つまり、七味が根詰まりしたおかげで、命拾いした人や、恋が成就したひとがいると | |
| そうなんだ。善にしろ、悪にしろさ。どんなに強い感情でも環境が整わないと、善も悪もうまいこと成就できなかったりする。感情は環境によって変わることってすごくあると思うんだ | |
| それを2パターン公演で表せる、環境の違いによる結果の違いという驚きを提供できる、そういうことなんだね | |
| そうそう。そういうことなんだ | |
| でもさ、当然片方のパターンだけでも面白いんだよね? | |
「忘れられないパジャマ」から探る、本公演の特徴 | |
| もちろんだよ。一応それぞれの公演ごとの違いもあるからね | |
| それじゃあ、まずは「忘れられないパジャマ」の事を説明して………ピラフ来たから、食べながらでも | |
| このピラフ、エビ、凍ってるよ。レンジでチンがあまかったな。………しゃりしゃりいうエビってはじめてだな | |
| ……さて、忘れられないパジャマのほうではね、コメディ色がつよい物語かな。争いやいさかいもあるんだけど、なんだか笑ってしまう要素が強い | |
| 島田で言うと、黄色と同じだと考えればいいかな? そこのご飯粒を頬につけた主宰 | |
| ああ。ただ、島田との違いはね。今回2本みると さらに詳しく人間関係がわかるというものなんだ | |
| ?そこんとこ、もうちょっと詳しく教えて | |
| 島田の場合は パラレルワールドというかさ、島田という人物がでてきて死ぬという設定は同じだけど登場人物の性格とかはまったく違っただろ | |
| そもそも島田自体が驚きのアレだったしね | |
| 島田の黄色、黒ともに2本ともぜんぜん違う役割の人物がいた。サスペンスとコメディ、どっちがお好き?という感じの公演だったね。今回のは主人公の選択肢によって変わるだけなので、人物の背景はどちらも同じなんだ。 | |
| 単純なコメディ調ではないと | |
| だから 本当は心底ではこう思っていたのね、というようなことが2本みるとあきらかになる。もちろん1本ずつでもぜんぜん物語として成立しているけれど。たとえばさ 飲み会ですごい明るいやつが 家帰るとものすごく暗かったりするじゃないか、同じ人物だけど | |
| うん、いるね、そういう人 | |
| そういう 同じ人物の状況の違いを2つみることによって、よりその人のことが深くわかる楽しみというか。2つみることで その人物の考えていることがよりわかるというか | |
| なるほど、そこが島田とは違うところだと | |
| あとは「忘れられないパジャマ」はね 女の人のゆれるせつなさ、みたいなものが主軸なんだ。そのせつなさが 多くの誤解をまねくんだけど、その誤解のいきさつがとても馬鹿みたいなのだ | |
| ちょっとだけどんな馬鹿なのか知りたいな。言える範囲で! | |
| そうだなあ。この話はさ、1組のカップルが喧嘩をするところが分岐点なんだけどね。パジャマ編だと、このパジャマは浮気相手のかーとか罵りあうのさ。それで隣人が「うるせー」と怒って 隣の部屋にきて…… | |
| なんだか鬼気迫る状況のようですけど…… | |
| 腹が立ってね パジャマを奪って着てしまうのだ。お前らが争ってるパジャマ、俺が着てやる!といってね | |
| わけわかんない(笑) | |
| ああ。ばかみたいだろ。着られても困る………みたいな。で、脱げよ、やだよ みたいな押し問答もある。それも馬鹿みたいだ。そこへ、まあ、いろいろ事件が起こってくるんだが、これ以上は劇場で | |
| 了解、なんでコメディなのか分かったよ。馬鹿馬鹿しそうだ | |
| ああ。馬鹿馬鹿しい。でも馬鹿馬鹿しいんだけどね、ちょっと複雑な女心みたいなのがこの物語にはかかれてるんだ。駄目男が好きな女性に是非みてほしいね。駄目男と一緒に(笑) | |
| それで、「忘れられた毒薬」の方はどうなの?……そこの無理やりエビを頬につけようとしてる主宰 | |
「忘れられた毒薬」がなぜ怖く面白いのか | |
| そうね、毒薬編のほうはね、結構怖いサスペンスだね | |
| あ、エビ落ちた | |
| あ。……ま、いいよいいよ。エビにとっても俺にとってもこれが一番よかったんだよ。グッバイ、エビ | |
| 金輪際エビと手を切ってください。それで、どう怖いサスペンスなの? | |
| 猜疑心とか 感情のすれ違いが積もり積もって最悪の結末を迎えるという。ちょっとした嘘って誰でもつくじゃないか | |
| そうだね | |
| たとえばさ 君が高校とかの同級生とたまたま道であったとする。その同級生は女だ。君は特につきあいたい、とかそういう感情はない。で、たまたまそれを彼女がみていたとするよ | |
| おっとちょっと複雑な状況だ。それで? | |
| 家に帰っててきて「今日なんかあった?」と彼女がきいてきたとする。君は話すのもちょっと面倒だから「何もなかったよ」と答える。彼女は、余計怪しむよね | |
| ひえー、怖い怖い | |
| そういうすれ違いって積み重なると怖いものだと思わない?ましてや男女のもつれが絡んだり、誰かが、重態のときとかにさ………人間の思わぬ本音ってでてきたりするじゃないか。そういうちょっとしたことで築き上げてきたものが壊れていくんだ。そういう怖さかな | |
| それは本当に怖そうだな | |
| ああ。結構観終わって「うわあ」と思う人も多いと思うよ。もちろん面白いとおもうけど笑える面白さというより、人間自体の興味深さというか。ひえええ、と思いながらも こういう人たちが集まればこうなることもあるかもなあ、という | |
| わかった。そういう面白さがウリだから、人物の背景がより分かる2パターン見るのがオススメなんだ | |
| そうそう。同じ人物だけど 状況によって変化する結果、というかね。そういうのの面白さを味わってもらいたいな | |
| 片方だけでも十分面白いけど、両方見ると2つの状況が分かるから より深くなると。なるほど、やっと納得したよ | |
| ふふふ。えらいね。ところでここのホットケーキやはりおいしくないだろうか | |
| わからん。うまいかもよ。俺が作ってもうまいもの、ホットケーキって | |
| ああ……向こうの人、ホットケーキ頼んでるけど……ねえ………ナイフできるのにあんなに手間取っているよ。ステーキみたいだ。生地が肉でできているのだろうか | |
| ……不器用な人なんだよ、きっと。そういうことにしておこう | |
| ああ。そういうわけなので、片方だけでも楽しめますが、両方みると人物の意外な過去がわかったりして、より楽しめると思いますよ | |
| じゃあ、そろそろ最後に制作として聞きたい事を。今回、なんと主催がオデッセーさんになりました。 | |
劇団カリフォルニアバカンスの今後 | |
| 他にも大口さんが東京都エイズ検査CMへ出演したり、劇団自身も TV出演したりと色々と動いていますが、今後の展望をどう考えてますか? | |
| カリバカとしては いろいろやりたいことも増えてきてさ | |
| いろいろと言うと? | |
| 劇団としては 今後こういう人の環境の違いによる明るさと闇を書き分けていく。難しいけどなかなかやれないことをやっていこうと思っています。今回みたいな2公演であらわしていく、というのをできたら毎回やりたいな、と | |
| え、これを毎回やっていくつもりなんだ?! | |
| ああ。自分の中でさ エンターテイメントのひとつの指針が今回のでできたんだ。僕なりの表現をもっと追及していきたいからね。そのためにはやはり2つで人の深みの面白さを表したいんだ | |
| でもそれって毎回2倍大変になるわけでしょ? | |
| もちろんなかなかできない時もあるだろうから、毎回とはいわないけどできるかぎりね。あとは、結構団員や僕もだんだん仕事も増えていっているので 演劇以外でもカリバカで何かできることをやっていきたいね。たとえば今回さ、Tシャツとかチラシとかアーティストさんに作ってもらったじゃない | |
| ああ、そうだね。初めての試みだったけど、かなり巧く行ったね | |
| なんか 劇団がつくるTシャツというよりは 外でも着られてデザインとしても面白いというのが一番だったじゃない | |
| はい、応募してくれたアーティストならびに皆さんのお陰です | |
| チラシもいつもとは違う人に作ってもらったけど なかなか変で面白いものだと思うんだよ | |
| チラシも今までと全く変わったものが出来たね | |
| ああいう自分たちとは違う能力をもった人たちと本当にオモロイものをつくりだしていけたらいいなっていうのが願い。カリバカが作ってるものって(芝居だけじゃなくて)なかなかいいじゃん、みたいに思われたら嬉しいね | |
| 1公演で2パターン毎回やるという全く新しい指針、自分達以外と面白いものを作ろうとする新風。反則でも面白ければいいじゃん、ってのが劇団の姿勢として出てるね | |
| そうそう。新しいから団員たちも僕もどこまでできるかわかんないけども。まあ、何より挑戦するのがいいのでは、と思うのさ。だから俺はあの、切れないホットケーキも挑戦しようと思うのさ。(店員を呼ぶ佑里沢) | |
| 良く食べるなぁ。自分もさ、このカリバカの馬鹿馬鹿しいパワーをいろんな人とシェアしていきたいなと思って、いろんなコラボを考えてるんだ | |
| おお、それは頼もしいね。制作らしい。いやー 君が制作やってから まだそんなにはたってないけど なかなか考えてるんだねえ | |
| HPもリニューアルして、ブログを始めました。podcast配信のための準備中です | |
| おお、そういえば ずいぶんHPもかわったねえ。podcastってのはなんだい | |
| 手っ取り早く言うと、インターネットラジオだね。ミニ公演を放送できたら、面白いんじゃないかと | |
| ほう。そういうのもどんどん やろうじゃないか、ええ、やりますとも。あ、ホットケーキ来た | |
| じゃ、インタビューはこんなところで。お疲れ様でしたー | |
| お疲れ様。……ホットケーかてえなあ………。やっぱ頼まなきゃよかったよ | |
| じゃあ俺は用事があるから、お先に。珈琲代だけ置いてくね | |
| おい。おーい | |
| カランコロン(喫茶店を去る) | |
| あー。これ………切れないや…… | |
| ……俺が食うの?これ…………… | |
| あーだめだ。ぜんぜんきれねえ | |
| 刃こぼれしてきた。ナイフ | |
| あの野郎…… (了) | |
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